天の川の釣友2012/05/06 08:40

2012年5月5日の午後 釣り仲間で師匠、何でも知ってて丁寧に教えてくれる、釣り道具やアウトドアのツールは自分で作れる、高校時代サッカーで体を鍛え、渓や山を野生の動物のように歩き続ける精神力と肉体を持ち、勇猛果敢で世話好きの心優しいリーダー・・・・還暦を越えたばかり。その釣友Tさんが突然天国に旅立った。



今年も4月30日夜から私を含めいつもの釣り仲間と東北岩手の釣行が予定されていて、当日の午前中私に待ち合わせ時間の電話連絡が来ていた。Tさんは午後数人の仲間とすべての道具を車に積み込み準備完了、一旦自宅に戻り後は2時間後仲間が集合して出発を待つばかりとなりほっと一息ついた。その直後心臓の痛みを訴え救急車で病院に緊急搬送された。

意識はあり、救急車で同行する家族に釣行は中止すべきか聞かれて、まだ中止の連絡はしなくていいと言っていたという。

病院に到着し医師と話ができるくらいの状態だったが、話をしている途中に意識を失った。家族、駆けつけた釣り仲間、同級生、恩師が何度も何度も目を覚まして!起きて!もう一度釣りに行こう!・・・と呼びかけ続けた。でも二度と目を覚ますことはなかった。脳梗塞と心筋梗塞の併発が頑強な命の歩みに永久にストップをかける要因となった。



今年3月に熱海に釣りに連れて行ってもらったとき、頭が時々痛くなるので専門医に診てもらった、脳梗塞になっている部分があるけどまだ重症じゃないので様子を見ようと言われているっていう話をしていた。私の家族も今年2,3月に立て続けに心筋梗塞のカテーテル手術をして、父はペースメーカーを入れているので心臓のほうも診てもらったらいいんじゃないんですか・・・とか話し合っていたのに・・・・。たった1日の数分の体調の急変で命を失うことに。カテーテル手術で済むかもしれないなと早期の回復を信じて疑わなかったけれど、タイミング的に悪い条件が整い過ぎてしまっていた。

本当にどうにかできなかったんだろうか。現代の医科学の力でもっとどうにかできただろうと思うとなおさら残念だ。悔しい。

この先もっと楽しいことが沢山待っていたと思う。もっとずっと一緒に釣りをしていたかった。いろんなことを教えてほしかった。家族にも仲間の心にも大きな穴がぽっかり開いてしまった。さびしい。今でも起こったことを受け入れることができない。



Tさんには20年くらい前に出会った。自分の大好きな釣りの人生の中でとても大きな柱となっていた。職場も、仕事も、遊びも、育った環境も人間関係もまったく異なる世界の人。テニスサークルの友人に一緒に秋田に釣りに行かない?って誘われた時から始まった。少し年上の兄貴みたいな人たちだから安心してと言われて。



会えるのは春と秋の連休の年2回のキャンプ釣行だった。毎日毎日東京に通勤し隣のビルの壁を窓から眺め、デスクワークに忙殺されていたサラリーマンの自分にとっては大自然の中で釣りを心置きなく楽しめる重要かつ希望に満ち溢れたイベントだった。

ひょこっと現れた私を仲間に入れて分け隔てな快く接してくれた。ときにはきつい冗談を言い合って大声で笑い美味しい酒を酌み交わした。畑違いのサラリーマンが知らない別の世の中のいろんなことを教えてもらった。親切にしてもらった。



4年前に私がサラリーマンをやめて故郷に帰っても、東京から皆で福島までやって来て私をピックアップして岩手まで連れて行ってくれた。去年の原発事故で郡山に避難している時にはとても心配してくれて、元気付けようといつもの釣行を前の年と同じように春と秋に計画してくれた。

昨夏の秋田への鮎釣りの旅、初めて鮎釣りを経験させてもらった。道具は全部借り物。12月クリスマスの裏丹沢の管理釣り場、めちゃ寒かった。フライではボーズだった。今年3月の熱海の海釣りも楽しかった。遠投を実演してくれた。Tさんは狙っていたアオリイカは釣れなかったけど、のんびりほのぼのの平和な一日だった。

本当に気遣っていただいた。感謝しても感謝しきれない。去年作ってくれたイワナやヤマメの燻製が避難先の今の部屋に飾ってある。フライフィッシングやってるからほとんど協力できなかったけど・・。いつか思い出しながら骨酒を楽しめる日が来るだろうか。



ご冥福をお祈りいたします。天国の綺麗な川や海で釣りをゆっくり楽しんでください。少し働き過ぎたから一度ゆっくり休んでください。

夜天を仰いで天の川が見れたときはそこで笑顔でタバコをうまそうに吸いながら釣り糸を垂れている姿を想うことにします。天の川の本流は広過ぎるからどこかの支流で釣るのかな。



どうか天から我々の下手な釣りを見て笑ってください。我々を見守ってください。
我々も悲しみの淵に沈んでばかりいないで好きな釣りを思う存分楽しむことが本当の恩返しになると思っています。

Tさんの分まで一日を、瞬間を大事にします。楽しみます。
本当にありがとうございました。


それにしてもさびしい、こちらの川で二度と会えないなんて。


信じられない。




あの日少しだけでも時間を戻せたなら・・・。

コメント

_ 空飛ぶキツネ ― 2012/05/06 15:51

きっと、いつか、天の川の清流でT氏に逢うことがあるでしょう?じっと、こちらを見つめて、何か言いたそうに…川は静かに流れ、何事もなかったように時が過ぎます。毛鉤を代えるのにティペットが見ずらくなったイブニングに遠くから声が聞こえます…今も生きている。心には懐かしい思い出がよみがえります。
心より、ご冥福をお祈りいまします。

_ hamanobi ― 2012/05/06 16:19

> 空飛ぶキツネ さん

ありがとうございます。
これからも釣りの時に傍で見守っていてくれたらなぁと思います。
らくらくが天国に行ってしまったときのように悲しいです。

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