警戒区域から追われし者の日常生活2012/05/20 01:47

今深夜だ。
のびのび(愛猫)が寝息を立てている。
とりあえず安心だ。

避難(原発事故による避難指示で)で福島にいたような普通の生活はできないと、猫ながら(だから)判っているんだろうか、我々家族と一緒に手狭な生活環境の不便に耐えて気丈に日々生きている。

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でもこんな生活は普通じゃない。まったくもって普通じゃない。
東電に、東電の原発事故のおかげで家をオン出され、仕事・生甲斐を奪われ帰れないんだから。
普通じゃない。

奴等の起こした原発事故で不便な避難生活を強いられているんだから
食事ぐらい出せと言いたい。
自腹を切らせて何食わぬ顔だ。
電気作ってるのに電気代まで支払わせる始末だ。
普通じゃない。

東電はオン出して我々の人生、猫生をめちゃくちゃにしておきながら相変わらずお代官様顔だ。判りづらく頭を悩まし苦労して作って送った賠償請求書に対して、これはだめですっていう診断書を突きつける。金が欲しけりゃ頭を下げろ、無駄な金は使うなと言いたげだ。いや言っているようなもんだ。
猫(体調不良治療費)に出せる金なんかねーとまで言って来た。猫だって同じ命だ、避難させられてるんだ!


「生活はだいじょうぶですか?体のほうは大丈夫ですか?何か足りないもの、不便はないですか?」なんていう気遣いはまったくない。事務的に申し訳程度(にもならないが)の賠償を行って、もうほったらかしだ。

「大変なご迷惑をおかけしております。」っていう決まり文句を並べるだけだ。古紙・新聞回収の拡声器じゃあるまいし。

もしのびのびが警戒区域から生きて保護されて神奈川に避難できていなかったらって想像するだけでたまらない気持ちになる。福島の自宅でらくらく(愛猫)のようにもう息をしなくなっていたらって考えたら・・・いたたまれなくなる。探しに行って連れて来ることができて本当に良かったと思っている。

大切ならくらくを失い、大事な釣友を失い、家族が生死を分ける緊急手術をし、家を、故郷を、ささやかな未来を失い・・・これ以上
失いたくない。

多くの避難住民が同じ思いをしながら全国に家族、友人、親戚、お隣さんがちりじりばらばらになりながらも毎日毎日生活している。日々踏ん張っている。皆健康で家に帰還したいと思っている。悲しいかな避難のハイインパクトで寿命を縮められた方々が沢山いる。

そして放射能汚染の不安に怯え、帰宅困難の現実を突きつけられている。いろんな決断を迫られている。

加害者は澄まし顔、政府は最早他人事だ。
大した問題も起こってないし、避難住民はどこかで食って生きていられるならいいだろうと思っている。
理不尽な世界だ。

直接的な被害を受けていなければわからないし、実感できない。
無理も無い、自分も避難している現実を忘れそうになるくらいだから。
皆人生の激変に戸惑い、被害者という現実に付いて行けていないのだから。

でも同じ思いはもうして欲しくない。福島以外ではもう。
たとえ千年に一度の大震災や悪魔の原発事故に遭遇しても、今の日本では自分が同じ目に遭わなければ学ぼうとしないのかも知れないが・・・。

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残念だがこれが日常だ、今の。

福島のあの日の日常に帰してもらいたい。
できなければそれなりの補償をきちんとしてもらいたい。
すべきだ。


「食費、酒、たばこ、水道光熱、通信、灯油、軽油、NHK、新聞、謝礼金・・・お支払い対象外です。その他、必要な書類を確認できませんでした。」東電の診断書が来た。言っとくがたばこは吸ってねーよ。未来を壊し一から物を揃え直させ、家族が離散して心と体壊して二重三重の生活してること考えろ。

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何も始まっていない。何も良くなっていない。

コメント

_ あこ ― 2012/05/20 15:44

アパート暮らしになり、飼えなくなったペットを預かってくれている施設では、会いに来た飼い主が帰ると、寂しくて血便になるワンちゃんもいるそうです。

突然家を追い出された気持ちは、ほんと、なってみないとわからないと思います。話せないペット達はよく耐えていると思います。

_ hamanobi ― 2012/05/21 12:16

> あこ さん

こんにちは。

ペットとも心は強く繋がっています。支え合っています。
与えられた命を大切にしたいですね。

加害者は人間にしても動物にしても植物にしても命を軽んじています。許せません。

_ 空飛ぶキツネ ― 2012/05/21 19:25

のびのびはあの日、寂しさと、孤独の中、生き続けた。きっと、私たちには理解できない世界の中で本能を目覚めさせ、一日、そして、いちにち…
「強いって何ですか?」そんな勇気をもらいました。抱きしめてあげてください。温もりが全てを感じさせてくれます。

_ hamanobi ― 2012/05/22 08:27

> 空飛ぶキツネ さん

のびのびは孤独に耐えて家族を信じて帰って来るのを毎日待っていました。そのことを思うと胸が痛みます。

避難1ヵ月後意を決してのびのびを迎えに行った日のことを思い出します。 聞いたことのない叫び声、生き別れた者どうしが会えたときにしか出せない鳴声を上げて走り寄って来ました。

信じてくれる心、命はむだにはできません。

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