原発避難152~無事戻る愛猫のびのび! ― 2014/10/12 17:49
発見されたのは我が家から直線距離で100メートルほどの住宅街。
我が家の近くの交通量が多い幹線道路の向こう側の雑居ビルやマンション、住宅、飲食店などに囲まれた駐車場です。
視界を遮るビルやマンションがなければのびのびが見えそうな目と鼻の先の場所でした。
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のびのびが家に戻らなくなってから家族と探し始めたのは最初は住いの周囲、猫も怖がる幹線道路の向こう側よりもこちら側、自然に走って行ってしまいそうな山と住宅が続く地区でした。都会なのでアパートやマンションの住民の方と会話をする場所ではありません。その中に昔ながらの地主さんが広い庭の邸宅を構えています。
範囲は直線距離で200メートルほどの地域。初めて会話をする住民の方に訊ねたりポスターを貼ったり(動物病院や大型温泉施設、幹線道路に面しているコンビニにもポスターを貼っていただけました。)、チラシを撒いてもなんの手がかりも見つからなかったので少しずつ範囲を広げていました。

シャム猫で顔や手足、尻尾が黒い、毛は薄茶、尻尾の先のほうが曲がっている、鼻の先が白い、鈴とネームプレートの付いた赤い首輪をしている。
ネームプレートに書いたのびのびの名前や電話番号は薄くなって消えかかっているかもしれない。毛の色でタヌキに間違えられるかもしれない・・・そんな特徴。
2011年の2月末に福島の自宅にいた愛猫らくらくが夜外に出たまま忽然といなくなりました。何日も帰らず、家族がオス猫は何日も家を出るというから・・そうなのかと思いながら探すも見つからず、結局3月11日、あの大震災があったその日の午前中帰らぬ姿で発見されました。200メートル離れた近所の家で不慮の事故に遭っていました。ちゃんと探していれば救出してあげれたのに!・・・そんな悲しい出来事があったので、のびのびは何があっても探してあげようよ必死でした。
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付近の住宅、マンション、アパート、邸宅、庭園、農園、神社とその林、お寺、墓地、大型の温泉施設、公園、駐車場、車の下、マンション工事の現場、猫が集まる川の土手、住宅街の通りを縦に横に・・・・なんの手がかりもありませんでした。猫だから隠れたらなかなか見つからない。のびのび~のびのび~のびのび~の~びのびのび、の~びのびのび!猫のいそうなありとあらゆる所には呼びかけました。
何度も繰り返し探しました。会う人に訊きました。もちろん土手の猫おじさんにも。猫が集まる所に来ているかもしれないと時々会う猫たちにも訊きました。のびのび見なかった?見たら教えてね。会ったら仲良くしててねって頼みました。
のびのびを助けて・・・写真のらくらくに手を合わせました。
神社には毎日お参りしました。もちろん猫が身を寄せる土手のお稲荷さんにも。路傍のお地蔵さんにも。どうかお願いします!・・・
御嶽山の噴火事故の救出活動と重なりました・・。
お稲荷さんの守り猫のみーみーが9月の下旬に姿を見せなくなっていました・・・。
何度か見かける黒い猫。我が家に近寄って来て、のびのびが追いかけていた黒猫がのびのび探しの手がかりになると考えていました。
忽然といなくなって2日過ぎ、3日過ぎ、4日過ぎ・・・どこへ行っちゃたんだろ?
ついに福島の自宅への一時帰宅の週末が来てしまいました。
一時帰宅を終えて翌週仕切り直し・・・
1週間を過ぎた頃幹線道路を渡った地区で猫を保護しているという情報があり、同じ地区で不明瞭だが猫を見かけたという情報が寄せられたのでその地区も重点的に探してみることにしました。期待大!でしたが・・・結局保護されていた猫はロシアンブルーという猫であることがわかったり、見かけた猫ものびのびの特徴がないことがわかり落胆しました。体調が不調で伏せることが多くなった母はさらにがっかりでした。
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ツイッターやフェイスブックで沢山の応援をいただきました。迷い猫の掲示板にも投稿しました。猫探しのアドバイザーから親切に色々ヒントをいただきました。町内会の皆さんにご自宅にポスターを貼っていただいたり、掲示板にも貼っていただいたり、訪ねていないお宅にはポストに入れさせていただいたり・・・何度も何度も探し続けました。
うちの猫は4週間目にひょこり帰って来たよ、1週間くらいまだまだだよ・・て言って励ましてくれたり・・・皆さん猫探しに好意的で親切でした。
届けを出した警察からも、保健所からも、市の動物愛護保護センターからも連絡はありませんでした。保護された猫のホームページにも載っていませんでした。
毎日毎日探しても何の手がかりも見つかりませんでした。情報もありませんでした。
そうこうしているうちに行方不明日数が2週間に近づいて来ました。
先日の台風もあったし、また大型台風が来る。体力は持つのか、何か食べているのか、事故などにあってないのか、のびのびの命は大丈夫なのか?
おそらく縄張り争いで隣の縄張りの猫を追いかけて行ってしまったのだろう・・・
というのが普通に考えられることでした。
恋の季節? のびのびは去勢してるし・・・
秋風が気持ちよくなったから少しぶらりと旅に出たくなったんだろうか・・・
我が家が嫌になったんだろうか・・・
土手の猫たちを可愛がり過ぎたからなのか・・・
誰かに連れ去られたんだろうか・・・
車にひかれたんだろうか・・・
この景色のどこかにのびのびが探しに来るのを必ず待っているはず・・・
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そして行方不明13日目。発見された日の早朝、発見されることになる地区の方角から猫の声が聞えない? 猫の声がする気がすると家族が言うのです。
その地区はこれまでも幹線道路を渡って行ってしまう可能性が否定できないことから2,3回探していたのですが、チラシを配って直接訊いたり、ポスターを貼ったりしていませんでした。
これが盲点でした。直線距離での近場には幹線道路があろうがなかろうが同じように同じ手段で探しに行くべきだったのです。
朝食後幹線道路の向こう側の他の地区を探しに行きました。
いつも大きな鉄の扉が閉まっているお宅の庭にその日は作業するご主人の姿がありました。一旦声を掛けるのをためらいましたが戻って声を掛けました。
チラシを見せて、こんな猫見かけませんでしたか?
見てないね・・。
もし見かけたら電話していただけませんか?
はい、わかりました。この辺によく猫は来てるよ。
お願いします。
自分でその周辺を探して飲食店などにもチラシを渡して見ていないか訊いて頼みました。いない。声もしない・・・。別の場所に移動して探しました。
そしてお昼に近づいた頃家に戻りながら探していると・・・電話が!
登録されていない携帯電話からです・・・。
猫を探している方ですよね?
はい!
うちの主人がもらった猫の写真を息子が見て、この猫昨日の夜駐車場で見たよっていってます。よく猫が集まるところだからもしかしたらこの猫かもしれないと思って。
ありがとうございます!直ぐ探しに行きます!
そのお宅に伺って先ほどの電話の奥さんと息子さんと話をしました。
そこは2つの駐車場があり、9匹の猫が集まる場所、猫好きの人が猫に餌をあげている、その中にのびのびに似た猫が最近来ていると言う。
何匹かいる猫の中にタヌキがいると思って近づくと、猫で、ほかの猫は近づいてくるのにさっと身を引いたと話してくれました。
その駐車場に急いで行って隣接する飲食店や住民の方に訊いてみると、ほぼのびのびに特定される、タヌキに似て首輪をしている猫がここにいるとのこと・・・間違いない!!
見たという飲食店の方は一緒に探してくれました。何匹か猫が車の下から出てきました。でものびのびはいませんでした。
のびのびの目撃情報があった駐車場。
猫が9匹集まっているとのこと。ここにも黒猫がいた。
昼ごはんを食べてからもう一度、家族を連れて探しに来ました。呼べど探せど現れない、見つからない。なかなか簡単にはいかないな・・・。
猫が集まる夜にまた探しに来ようと一旦家に戻りました。
家の中で休む間もなく二本の電話が立て続けにありました。
飲食店の方と駐車場の隣のお宅のご主人から。
時間がもう少しで午後2時になる頃でした。
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今来てますよ、今いますよ!
すぐ行きます!
猫を入れる籠を持って急ぎました。
こっち、こっち・・・あるお宅の旦那さんが指を指します。
ブロック塀の上に見慣れた姿、のびのびがきちんと正座して座っていました。
のびのび~のびのび~と呼びながら近寄っていくと
しわがれた声で、泣きながら会いたかった~会いたかった~と聞えるような、再会を喜ぶ鳴声を上げました。あの原発事故避難1月後、福島の自宅にのびのびを救出しに行って叫びながら我々のほうへ駆け寄って来たときのように。
ブロック塀の上をゆっくりのびのびは私のほうへ近づいて来ました。
私は背伸びして、のびのびを両手で押さえました。やったー!もうこれで大丈夫。
のびのびを籠に入れようとしましたが怖がって入ってくれませんでした。
両手で逃げられないように強く抱きかかえながら家路を急ぎました。
幹線道路や交差点に来るとのびのびは怖がってとんでもない声を上げました。
信号待ちの人々は驚いて見ていました。まるで猫を捕獲して虐待する人を見るように。
赤信号が変わるのを待ちました。早く青に変わってくれ!
家まで5分あまり・・。ドアを開けてのびのびを入れました。
もう怖がらなくてもいいよ。大丈夫。
よかったね! もどれたね! また一緒にいられるね!
のびのびは良く食べ、よく眠りました。
これからはあまり冒険をしないで家にいておくれ。
お願いだから。
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翌朝、ポスターを剥がしに行って愛猫が無事帰って来たことを報告しました。
道すがら甘く香るキンモクセイが薄日の射す住宅街で爽やかでした。
のびのび探しに協力していただいた皆さん、応援してくださった皆さん、
皆さんのお陰でのびのびを救出することができました。
本当にありがとうございました。
のんびりした福島と違って愛猫がのびのび過ごすには大変な環境ですが
このまま一緒に過ごして何時の日か
安全になった福島にのびのびと一緒に帰還したいと思っています。
どうか平穏無事な避難生活が続きますように。
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コメント
_ まいたけ ― 2014/10/13 11:53
_ kobi ― 2014/10/13 12:30
この13日間、のびのびとはまのびさんの気持ちが胸にズキンと来て、気付くと下を向いちゃってるような状態だったんだよーーー
も~~~(≧∀≦)
GPSのペンダントみたいなのはないかな?
_ kobi ― 2014/10/13 12:36
_ あこ ― 2014/10/13 12:53
台風も来るし、気が気じゃなかったですよね。
とにかく、無事で良かった~。のびのびちゃん!
_ hamanobi ― 2014/10/13 15:33
まいたけさん、ありがとうございます!
我が家に近づいて来たほかの猫を追い払おうと追いかけて行って、はずみでたまたま車の走っていなかった幹線道路をも越えて行ってしまって戻れなくなってしまったのかなと思います。
ご飯に愛情を感じない、自分を大切にしてくれないとか家族間に流れている嫌な空気感とかを察知して自分から出て行ったのかもしれないと・・・何度も考えましたが・・・
危険な怖い交通量の多い道路を敢えて越えて行くことはないのかと思います。
本当のことはのびのびしかわかりません。
_ hamanobi ― 2014/10/13 15:52
こびちゃん、本当にご心配をおかけしました。
お仕事などに影響が出てしまったかもですね、ごめんなさい。
こびちゃんやみんなの応援があったからより頑張れました。
ありがとうございました。
GPSの首輪があれば心配も減りますね。
猫に負担のかからない良いのがあればいいなぁと思っています。
_ hamanobi ― 2014/10/13 15:59
ありがとうございます。
何があるかわかりませんね。
怖れていることはいつか起きてしまうというのが実感です。
のびのびは最初は捨てられていて拾われて我が家に縁があって家族の一員になりました。
我が家に来てからも行方不明になる大きなピンチがあり、原発事故でも家に残されて凄いピンチに・・・
なんどか苦難を乗り越えて来ましたが・・・また今回のピンチ・・・
これでお別れになってしまうのかという時が何度かありました。
どうにか事無きを得ましたがもう二度とあって欲しくはないですね。
とにかくよかったです。
安心できる何かを考えなければいけませんね。
_ 空飛ぶキツネ ― 2014/10/13 19:04
孤高の「のびのび」…また、冒険をするでしょう?でも、守ってくれる愛する人がささえなければいけません。一歩前へ、踏み出そうとしたのびのびです。
_ ごん ― 2014/10/14 21:43
本当に心からよかった~☆
色々有って お仲間が哀しむ顔はもう見たくないんですよ
_ hamanobi ― 2014/10/15 14:20
もしかしたら、他の猫に付いて行っちゃうかもしれない、もしかしたら、あの道路を越えて行っちゃうかもしれない・・・という推測を大事にしていればもっと早く探し出せたと思います。思い込みの危険性というのを学びました。こんなことになってしまうなんてのびのびは思わなかったのでしょうけど、私たちをいつまでも待っていてくれたのびのびを褒めてあげたいです。
_ hamanobi ― 2014/10/15 14:25
本当にご心配をおかけしました。
探し出せていなかったら何も手に付かず、やる気が起きていないと思います。
ずっとあきらめず探し出す心を支えてくださったごんさんの温かい言葉に感謝です。ありがとうございます!
_ 猫のみる ― 2014/11/05 21:42
強運の持ち主ですね。
素晴らしい家族に恵まれ、2度もの大きなピンチを切り抜けたのですから。
深い愛情に包まれて、安心しきって眠っているのびのびの寝顔を見て癒されました。
写真をありがとうございます。
_ hamanobi ― 2014/11/06 15:31
こんにちは♪
ありがとうございます。
皆さんのご協力で見つけることができて本当によかったです。
秋になると猫たちの気配をよく感じるようになるのかよくわかりませんが、
猫がたくさん集まる場所に行っていました。
家族の愛情が足りないのかな・・・とも思ったりして・・。
できる限り大事にしてあげたいです。
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