原発避難151~愛猫のびのび行方不明!!2014/10/07 12:07

福島から一緒に神奈川・横浜に原発事故避難している
愛猫のびのびが9月29日(月)突然行方不明になってしまいました。

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のびのびを最後に見たのは深夜、寝ていたこたつのテーブルの上の猫用のふとんからぽんと飛び降りたところまでです。そして外に出て行って何かが原因で帰れなくなったのだと思います。

福島での生活は家の中も外も自由奔放で庭や畑、田んぼまで自分の縄張りにしていましたから、避難先に連れて来た当初からのびのびを部屋の中だけで生活させるのは無理でした。それでドアの扉に出入り用の扉を作って自由にしていたのです。

ですからどこかへ行ってしまう危険性はあったのです。でも3年半の一緒の避難生活で1日も帰って来ないということはありませんでした。行動範囲も家とその周辺だけで家族に聞くとどこどこにいるよという返事がいつも返って来ました。

朝、外から扉をくぐってニャーン!と大きく鳴いて挨拶し、家族を起こすのが一日のはじまりです。私が起きないときちんと正座して待っています。ふとんから出ないと噛り付くことも度々です。「わかった、わかった、起きるからのびのび」

餌を食べると日中は寝ています。夕方から行動を起こし散歩に出ようと催促します。その時はきちんと人間用の扉を開けて一緒に外に出ます。外に行っても10メートル先にある駐車場まで街の中の小さな駐車場から道路を越えて行くことはありません。駐車している車の下や自販機の横まで行って道行く人や走る車の行き来を眺めています。

最後の夜もそんなことをして駐車場の横の路地を少し先に行きそうになったので「のびのびこっちにおいで」て呼んだら私の足元に戻ってすりすりし、隣のビルの駐車場で転がって気持ち良さそうにしていました。その後のびのびは我々家族が寝ている部屋に戻ってきて自分のふとんに上がって寝たのです。それに気づいて私はのびのびの体を撫でてあげたいと思ったのですが・・そう思っているうちに眠ってしまいました。

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のびのび見た? 見てない。いつも夜中と朝に来てるのに来てないよ。
昼になっても姿がない。異変に気づき始めたのはこのときでした。
近所でのびのびを探しました。見当たらない。
夕方になっても夜になっても戻らない。
2日経ち、3日経っても戻らない。どうしちゃったんだろう?

9月2日に近所の警察、区の保健所、市の動物保護センターに届け出ました。
そしてポスターを作って人の集まりそうな近隣の動物病院、温泉施設やコンビニ、不動産屋さんに貼ってもらい愛猫探しの協力をお願いしました。町内のお宅に配ったり、園芸屋さんのハウスに貼らせてもらったり父の行きつけの床屋さんに情報提供をお願いしました。猫おじさんにも、そして母の散歩用の押し車にも・・・。

インターネットでは交流サイトのツイッターやフェスブックにも載せました。
たくさんの応援、激励やリツィート、シェアをしていただきました。
獣医師会の迷子猫の掲示板にも掲載してもらったり・・・・。それを見て迷い猫探しのポイントを教えていただいたり。

心温かい親切な人が多くて胸が熱くなります。
みなさんのご協力本当にありがたいです!







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これまで家族で周囲を地道に探し続けていますがまだ見つかっていません。
猫の目線で道を歩いたり人家の庭や軒下を見たり、見かけなかったか尋ねたり・・・。

猫好きの方には、我が家の猫も3週間経ってから帰って来たとか、4週間経ってある日突然とか・・いう話もしてくれました。
立ち話でどこどこに猫が集まるよとか
そいう猫はまだ見たことがないとか情報をいただきました。
かわいいから連れて行かれたのでは?とか・・・。
猫のいるお稲荷さんや近くの神社にお参りしたり。
見かけた猫ちゃんにものびのびのことを頼んでいます。

見つかるまであきらめません。
ほかの猫を追いかけて行ったか、土や草を求めて、里山が恋しくて訪ねて行ったのか・・・
連れ去られたのか・・・・

でもどこかで必ず生きていて必ず見つかって戻ってくると信じています。






見かけた全身黒い猫。
夜中に黒い猫が我が家に来るとそれを愛猫のびのびがいつも追い払っていたんです。
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のびのびは8年前子猫の時、山の谷で親戚の方に兄弟たちと一緒にいるところを救われ、その後我が家にやって来ました。

アクシデントが2歳の頃ありました。我が家に来ていた畳屋さんの車がのびのびを乗せたまま家を離れ、気づいて途中で降ろされたのです。2週間山野を彷徨った後にのびのびは発見されました。直線距離で500メートルほど先の民家で保護されていました。痩せていました。家族の口コミでの猫探しが功を奏しました。


2011年3月のびのびは5歳のとき、原発事故で家に置き去りにされました。福島の浜通りの自宅から郡山市まで避難していた私は、避難後ひと月間ひとりで家に置き去りにされたままののびのびを救出しなければと毎日焦っていました。

愛猫の生命、そして自宅のある区域が立ち入り禁止になるタイミングを考えて、これがのびのびを救う最後のチャンスになるのではないかと思い、愛猫を救出しに行きました。自宅に到着すると我々の声を聞いてのびのびは直ぐ家の中から現れました。元気に生きていました!その時愛猫は再会の喜びか歓喜の鳴声を上げて私に走り寄って来ました。

いつ帰れるとも分からない福島の自宅を去るとのびのびはずっと車の中でニャーニャー鳴き続けました。またアクシデントが起きました。不運なことに隣町で私が出発直前に完全に閉めなかった車の後部座席の窓から外に出てしまいました。のびのびが車の中にいないことに気づいたのは車の中が静かになってから・・・愛猫が車の外に飛び出してからしばらく走っていました。警戒区域であったことと残りの時間を考えてその日の捜索はあきらめました。

郡山の避難所に戻り、もうあきらめろと言われましたが、絶対のびのびを見つけると決心し、翌朝また中通りから浜通りのその隣町へ車を走らせました。のびのびが隠れていそうな民家を1軒1軒当たりました。そしてその地区の最後の最後の家に行って探していると・・2匹のグレーのロングヘアーの猫が私の前に風のように現れました。

誘われるように歩いていくと聞き慣れた猫の小さな声・・・その方へ目を向けるとそのお宅の納屋の奥の荷物の上にちょこんと正座して小さな声で鳴いているのびのびを見つけたのです。前日道路工事をしている白い防護服を着た作業員が沢山いる場所で車を制止された場所でした。奇跡が起きました。

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愛猫のびのびはいわき市の親戚の家で1泊し郡山の避難所を経由して東北道を走り神奈川に連れて来られました。車が走るとのびのびは車の中で鳴き続けました。首都高で車が動かなくなりJAFFのお世話になるというおまけ付きで・・散々な経験だったと思います。

それから3年半、神奈川の避難先は2部屋しかなく、周りにはビルや多くの人や車、なにもかも見慣れない景色。福島の自宅とは環境が激変しました。のびのびがほっと気を抜くことができるのは草の生えた空き地でした。その空き地も住宅が新設されたり、うるさいマンション工事が始まりなくなってしまいました。それでものびのびは家族を癒し続けました。

暑い夏が去って涼しい秋が来て猫も人も過ごし易くなった頃、今回の のびのびの行方不明事件は起きました。






オリジナル曲12 「猫のびのび 猫らくらく」2014/10/07 16:48

「猫のびのび 猫らくらく」      曲詞  hamanobi   20141014


C   C    F    F      Csus4   Csus4   C    C   

C                            F
のびのび のびのび 猫伸び  伸び伸び
C                            F
らくらく らくらく 猫楽 楽々
C                      F
やさしく 強く   愛が あるれる
C                           F            C
君が いれば    みんな 幸せ

C                            F
のびのび のびのび 猫伸び  伸び伸び
C                     F
らくらく らくらく 猫楽 楽々
 

Csus4            C
猫も 人も  みんな おなじ
Csus4               C
生きる ことは 簡単じゃ ないけど
Csus4            C
自分の 道を 伸び伸び 行こう!
Csus4                 C                            
みんなで  一緒に 楽々 行こう!

C                            F
のびのび のびのび らくらく らーく
C                            Csus4      C
のびのび のびのび らくらく      らーく

C                      F
やさしく 強く   愛が あふれる
C                         Csus4       C       C       C
君が いれば    みんな     幸せ

原発避難152~無事戻る愛猫のびのび!2014/10/12 17:49

お陰様で9月29日から13日目、行方不明になっていた愛猫のびのびが昨日(10月11日)発見されて無事我が家に戻りました!!

発見されたのは我が家から直線距離で100メートルほどの住宅街。

我が家の近くの交通量が多い幹線道路の向こう側の雑居ビルやマンション、住宅、飲食店などに囲まれた駐車場です。
視界を遮るビルやマンションがなければのびのびが見えそうな目と鼻の先の場所でした。

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のびのびが家に戻らなくなってから家族と探し始めたのは最初は住いの周囲、猫も怖がる幹線道路の向こう側よりもこちら側、自然に走って行ってしまいそうな山と住宅が続く地区でした。都会なのでアパートやマンションの住民の方と会話をする場所ではありません。その中に昔ながらの地主さんが広い庭の邸宅を構えています。

範囲は直線距離で200メートルほどの地域。初めて会話をする住民の方に訊ねたりポスターを貼ったり(動物病院や大型温泉施設、幹線道路に面しているコンビニにもポスターを貼っていただけました。)、チラシを撒いてもなんの手がかりも見つからなかったので少しずつ範囲を広げていました。



シャム猫で顔や手足、尻尾が黒い、毛は薄茶、尻尾の先のほうが曲がっている、鼻の先が白い、鈴とネームプレートの付いた赤い首輪をしている。
ネームプレートに書いたのびのびの名前や電話番号は薄くなって消えかかっているかもしれない。毛の色でタヌキに間違えられるかもしれない・・・そんな特徴。

2011年の2月末に福島の自宅にいた愛猫らくらくが夜外に出たまま忽然といなくなりました。何日も帰らず、家族がオス猫は何日も家を出るというから・・そうなのかと思いながら探すも見つからず、結局3月11日、あの大震災があったその日の午前中帰らぬ姿で発見されました。200メートル離れた近所の家で不慮の事故に遭っていました。ちゃんと探していれば救出してあげれたのに!・・・そんな悲しい出来事があったので、のびのびは何があっても探してあげようよ必死でした。




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付近の住宅、マンション、アパート、邸宅、庭園、農園、神社とその林、お寺、墓地、大型の温泉施設、公園、駐車場、車の下、マンション工事の現場、猫が集まる川の土手、住宅街の通りを縦に横に・・・・なんの手がかりもありませんでした。猫だから隠れたらなかなか見つからない。のびのび~のびのび~のびのび~の~びのびのび、の~びのびのび!猫のいそうなありとあらゆる所には呼びかけました。

何度も繰り返し探しました。会う人に訊きました。もちろん土手の猫おじさんにも。猫が集まる所に来ているかもしれないと時々会う猫たちにも訊きました。のびのび見なかった?見たら教えてね。会ったら仲良くしててねって頼みました。

のびのびを助けて・・・写真のらくらくに手を合わせました。
神社には毎日お参りしました。もちろん猫が身を寄せる土手のお稲荷さんにも。路傍のお地蔵さんにも。どうかお願いします!・・・


御嶽山の噴火事故の救出活動と重なりました・・。
お稲荷さんの守り猫のみーみーが9月の下旬に姿を見せなくなっていました・・・。


何度か見かける黒い猫。我が家に近寄って来て、のびのびが追いかけていた黒猫がのびのび探しの手がかりになると考えていました。


忽然といなくなって2日過ぎ、3日過ぎ、4日過ぎ・・・どこへ行っちゃたんだろ?
ついに福島の自宅への一時帰宅の週末が来てしまいました。
一時帰宅を終えて翌週仕切り直し・・・

1週間を過ぎた頃幹線道路を渡った地区で猫を保護しているという情報があり、同じ地区で不明瞭だが猫を見かけたという情報が寄せられたのでその地区も重点的に探してみることにしました。期待大!でしたが・・・結局保護されていた猫はロシアンブルーという猫であることがわかったり、見かけた猫ものびのびの特徴がないことがわかり落胆しました。体調が不調で伏せることが多くなった母はさらにがっかりでした。

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ツイッターやフェイスブックで沢山の応援をいただきました。迷い猫の掲示板にも投稿しました。猫探しのアドバイザーから親切に色々ヒントをいただきました。町内会の皆さんにご自宅にポスターを貼っていただいたり、掲示板にも貼っていただいたり、訪ねていないお宅にはポストに入れさせていただいたり・・・何度も何度も探し続けました。

うちの猫は4週間目にひょこり帰って来たよ、1週間くらいまだまだだよ・・て言って励ましてくれたり・・・皆さん猫探しに好意的で親切でした。

届けを出した警察からも、保健所からも、市の動物愛護保護センターからも連絡はありませんでした。保護された猫のホームページにも載っていませんでした。
毎日毎日探しても何の手がかりも見つかりませんでした。情報もありませんでした。
そうこうしているうちに行方不明日数が2週間に近づいて来ました。
先日の台風もあったし、また大型台風が来る。体力は持つのか、何か食べているのか、事故などにあってないのか、のびのびの命は大丈夫なのか?





おそらく縄張り争いで隣の縄張りの猫を追いかけて行ってしまったのだろう・・・
というのが普通に考えられることでした。

恋の季節? のびのびは去勢してるし・・・

秋風が気持ちよくなったから少しぶらりと旅に出たくなったんだろうか・・・
我が家が嫌になったんだろうか・・・
土手の猫たちを可愛がり過ぎたからなのか・・・
誰かに連れ去られたんだろうか・・・
車にひかれたんだろうか・・・


この景色のどこかにのびのびが探しに来るのを必ず待っているはず・・・

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そして行方不明13日目。発見された日の早朝、発見されることになる地区の方角から猫の声が聞えない? 猫の声がする気がすると家族が言うのです。

その地区はこれまでも幹線道路を渡って行ってしまう可能性が否定できないことから2,3回探していたのですが、チラシを配って直接訊いたり、ポスターを貼ったりしていませんでした。

これが盲点でした。直線距離での近場には幹線道路があろうがなかろうが同じように同じ手段で探しに行くべきだったのです。

朝食後幹線道路の向こう側の他の地区を探しに行きました。
いつも大きな鉄の扉が閉まっているお宅の庭にその日は作業するご主人の姿がありました。一旦声を掛けるのをためらいましたが戻って声を掛けました。

チラシを見せて、こんな猫見かけませんでしたか?
見てないね・・。
もし見かけたら電話していただけませんか?
はい、わかりました。この辺によく猫は来てるよ。
お願いします。

自分でその周辺を探して飲食店などにもチラシを渡して見ていないか訊いて頼みました。いない。声もしない・・・。別の場所に移動して探しました。

そしてお昼に近づいた頃家に戻りながら探していると・・・電話が!
登録されていない携帯電話からです・・・。

猫を探している方ですよね?
はい!
うちの主人がもらった猫の写真を息子が見て、この猫昨日の夜駐車場で見たよっていってます。よく猫が集まるところだからもしかしたらこの猫かもしれないと思って。
ありがとうございます!直ぐ探しに行きます!

そのお宅に伺って先ほどの電話の奥さんと息子さんと話をしました。
そこは2つの駐車場があり、9匹の猫が集まる場所、猫好きの人が猫に餌をあげている、その中にのびのびに似た猫が最近来ていると言う。
何匹かいる猫の中にタヌキがいると思って近づくと、猫で、ほかの猫は近づいてくるのにさっと身を引いたと話してくれました。

その駐車場に急いで行って隣接する飲食店や住民の方に訊いてみると、ほぼのびのびに特定される、タヌキに似て首輪をしている猫がここにいるとのこと・・・間違いない!!
見たという飲食店の方は一緒に探してくれました。何匹か猫が車の下から出てきました。でものびのびはいませんでした。




のびのびの目撃情報があった駐車場。
猫が9匹集まっているとのこと。ここにも黒猫がいた。


昼ごはんを食べてからもう一度、家族を連れて探しに来ました。呼べど探せど現れない、見つからない。なかなか簡単にはいかないな・・・。
猫が集まる夜にまた探しに来ようと一旦家に戻りました。

家の中で休む間もなく二本の電話が立て続けにありました。
飲食店の方と駐車場の隣のお宅のご主人から。
時間がもう少しで午後2時になる頃でした。


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今来てますよ、今いますよ!
すぐ行きます!
猫を入れる籠を持って急ぎました。
こっち、こっち・・・あるお宅の旦那さんが指を指します。

ブロック塀の上に見慣れた姿、のびのびがきちんと正座して座っていました。
のびのび~のびのび~と呼びながら近寄っていくと
しわがれた声で、泣きながら会いたかった~会いたかった~と聞えるような、再会を喜ぶ鳴声を上げました。あの原発事故避難1月後、福島の自宅にのびのびを救出しに行って叫びながら我々のほうへ駆け寄って来たときのように。

ブロック塀の上をゆっくりのびのびは私のほうへ近づいて来ました。
私は背伸びして、のびのびを両手で押さえました。やったー!もうこれで大丈夫。

のびのびを籠に入れようとしましたが怖がって入ってくれませんでした。
両手で逃げられないように強く抱きかかえながら家路を急ぎました。
幹線道路や交差点に来るとのびのびは怖がってとんでもない声を上げました。
信号待ちの人々は驚いて見ていました。まるで猫を捕獲して虐待する人を見るように。
赤信号が変わるのを待ちました。早く青に変わってくれ!

家まで5分あまり・・。ドアを開けてのびのびを入れました。
もう怖がらなくてもいいよ。大丈夫。
よかったね! もどれたね! また一緒にいられるね!




のびのびもほっとしたのか、いつものように風呂の水道の蛇口から水を飲みました。
のびのびは良く食べ、よく眠りました。
これからはあまり冒険をしないで家にいておくれ。
お願いだから。


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翌朝、ポスターを剥がしに行って愛猫が無事帰って来たことを報告しました。
道すがら甘く香るキンモクセイが薄日の射す住宅街で爽やかでした。




のびのび探しに協力していただいた皆さん、応援してくださった皆さん、
皆さんのお陰でのびのびを救出することができました。
本当にありがとうございました。


のんびりした福島と違って愛猫がのびのび過ごすには大変な環境ですが
このまま一緒に過ごして何時の日か
安全になった福島にのびのびと一緒に帰還したいと思っています。

どうか平穏無事な避難生活が続きますように。



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