7月 想い出の夏 2010 ― 2011/07/15 07:17
今頃蛍を探しながら夕涼みをしていた。
今年は蛍を探せない。
あの場所はあっても今は帰れない。戻れない。
愛猫らくらくはもういない。
今日で避難生活126日を数えた。4ヶ月以上経過してしまった。
時間が長くなるに連れて鮮やかな想い出さえも色あせていく。
原子力発電所の事故が住民の運命を変えた。
原発の近くに住む方には同じ思いをして欲しくない。
二度とこの思いはしたくはない。
脱サラ3年目の夏を福島で楽しんで、
4年目の夏を人の多く住む場所で原発を避けて生きている。
愛猫らくらくは短い命を自由に勇敢に生きた。
愛猫のびのび。
愛猫らくらく。二人とも拾われて縁があって我が家を住処としてくれた。優しい猫たち。
キッチンガーデンにたくさんハーブや野菜を育てた。
いわき市グリーンスタジアムにプロ野球を見に行ったこともあった。
新じゃがは美味い。今年は誰も掘り起こしてくれない。
夕食後の散歩が何より好きだった。
梅はもう熟して落ちてしまっただろう。
去年は自身初の梅酒、梅サワー、はちみつ漬けを作ってみた。帰ったら食べられるだろうか。
ミニトマトやピーマンが沢山実った。夏はトマトを買わなくて済んでいた。
つぶやきにで教えられてドライトマトを作った。ドライバジルもためしにやってみた。
たくさん育つハーブは乾燥させてお茶にした。
庭で覚えたてのウクレレを奏でてみた。
のびのびは屋根が好きだ。家中パトロールをしてくれた。
ねずみの声がしなくなった。
仲の良い二人もときどき喧嘩をした。
いつも傍にいてくれた。
野菜たちは期待に応えて立派に育ってくれた。
海も近かった。原発も近かった。
静かな海だった。
時に綺麗な夕焼け空を見ることができた。
西の空に火星、水星、土星がランデブーしていた。
夜空には白鳥が舞い、織姫、彦星の間を天の川が流れていた。
来年は福島で見れるだろうか。また楽しめるだろうか。
らくらくとのびのびとまた夕涼みがしたい。
蛍を探しながら。
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